Voice -君の声だけが聴こえる-

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 三人で笑い合っているうちに昼休みが残り五分になってしまい、詠斗は弁当半分、紗友に至ってはすっかり食いっぱぐれてしまった。巧は「三分あれば食べきれる」と言ってダッシュで教室へと戻っていったが、果たしてどうなったのやら。

 その場の雰囲気に押されて結局二人の手助けを受けることになってしまった詠斗だったが、やはりどこか後悔の念は拭い去れないところがあり、授業中、もやもやと心に渦巻く何かの存在に思考を持っていかれそうになるのを必死になって堪えなければならなくなった。

 詠斗だって、何も手助けを申し出てくれること自体が嫌なわけではない。もしも自分が健常者なら、迷わずその手を取っていただろう。

 けれど、不自由を背負う身ではどうしても頼るばかりになってしまって、頼られることは圧倒的に少ない。美由紀の願いに応えようと思ったのも、こんな自分を頼ってくれたことが素直に嬉しかったからだ。
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