この手をぎゅっと、離さないでね?



だって光琉くん、悲しそうな目をしてるんだもん。



きっとお母さんに、たくさん傷つけられるようなことを言われていたんだなぁって。

その悲しげな眼差しを見ていたら、私まで悲しくなってきた。



「うっ……光琉くん…。辛かったんだねぇ…」

「ちょっと待てや……なんで泣いてんだよお前は」

「だって光琉くん……辛かっただろうなぁって思ったら私も悲しくって…グズッ」



光琉くんが小学生のころは、優しい子だったってみっちゃんが言ってた。

それって、そのころはお母さんとも仲良くやれてたってことなんだもんね?

光琉くんが誰にでも優しくできたのは、光琉くん自身がお母さんに優しくしてもらっていたからなんだもんね?



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