この手をぎゅっと、離さないでね?
洋くんに会ったらすぐに、『ホタルを見に行けるよ!』って言おうと思ってたのに…。
もうすぐ1時間目の数学がはじまる時間なのに、ぜーんぜん登校してこないじゃんかぁ…。
って、洋くんが登校時間に来ないのはいつものことか。
目線を黒板とノートに行ったりきたりさせていると。
ドアが、ガラガラっと開いた。
わざわざ振り返らなくても、教室に入ってきたのは洋くんか、荒井くんか、それとも多津くんか…。
うちのクラスで遅刻をする生徒といえば、その3人しかいないもん。