この手をぎゅっと、離さないでね?
「お前がぜんぜん起こしてくれねぇのが悪いんだろ」
「いやいや、30回は電話したし。洋が起きなさすぎなんだろ」
多津くんと洋くんはとっても仲がいいみたいで、洋くんがよく『朝起こして』ってお願いする姿は毎日のように見かける。
「私語はいいから早く席につきなさい」
洋くんの席は、私の左ななめ後ろ。
ガタン、と椅子をひく音がしたかと思えば『おーい、あかり』と洋くんに呼ばれた。