この手をぎゅっと、離さないでね?



「なぁに?」



片山先生が黒板を向いている隙をみて、後ろを振り返る。

すると洋くんは、頬杖をつきながら私をじっと見つめていた。



「ホタルのこと、どうだった?親父さんにオッケーもらえた?」



私が親指と人差し指で丸を作ってみせると、洋くんは嬉しそうに目を細めた。



「よかった。じゃあ土曜日、家まで迎えにいくから待っとけよ?」

「こぉら仙崎っ!ったくお前ってやつは!授業中にデートの約束をするんじゃないっ!」

「っせぇな!聞いてんじゃねぇよ!」

「お前が堂々としすぎだ!」



……なんて、片山先生と洋くんが言い合ったりするから教室の中は笑いの渦に包まれた。



< 123 / 347 >

この作品をシェア

pagetop