この手をぎゅっと、離さないでね?
洋くんはじゃーな、なんて手を振りながらも私の前から離れなかった。
「洋くん、今日はみんなでカラオケに行くんでしょ?私のことはいいから、早くみんなを追いかけなよ?」
「だってあかり、ひとりで帰るんだろ?ほっとけねぇじゃん」
「大丈夫だよぉ。これまでだってひとりで帰ってるし」
同じ方向に帰る子で、仲がいい子はみっちゃんくらい。
だけどみっちゃんは、バスケ部に入ってて体育館で毎日練習してるから一緒に帰れない日が多い。
だからひとりで帰ることなんて、日常のことだから。