この手をぎゅっと、離さないでね?
洋くんはまだ納得してない表情をしていたけれど。
くるりと背をむけて、私の前から離れていく。
これから、はるちゃんと一緒にカラオケかぁ。
はるちゃんはきっと、洋くんのとなりに座るんだろうなぁ。
一緒に歌お、なーんて可愛い声で言って…。
洋くんも仕方ねぇなぁ、とかってなんだかんだ承諾しちゃうのかな。
「洋くん……待って」
やっぱり……行ってほしくない。
廊下を歩く洋くんのあとを追いかけた私はブレザーの裾を咄嗟につかまえた。