この手をぎゅっと、離さないでね?
「うわっ、なんだよびっくりすんじゃねぇか!」
拳を振りあげたまま振り返った光琉くんは、私と目を合わせるなり拳をさげた。
「光琉くん…暴力はダメだよ」
名前も学年もわからないけど、光琉くんの下敷きになっている男子生徒は怯えた顔をしているし…。
その時点でもう戦意なんてないんだから、そんな相手を殴るなんてよくないよ。
「……チッ」
光琉くんは鋭い舌打ちをしたあと、男子生徒の胸ぐらから手を離してくれた。