この手をぎゅっと、離さないでね?
ただ帰路が同じってだけなのにぃ…。
うぅ……光琉くん、すごく不機嫌だなぁ。
光琉くんの攻撃的な視線から逃れるように顔を背けて、バス停のそばのベンチに座った。
「あーっ、クソ。マジでイライラするわ!」
私のとなりにドカッと腰をおろした光琉くんは、高ぶった感情をなかなか沈めることができないみたい。
だからきっと、よっぽど嫌な思いをしたんだろうな…。
「なにがあったの…?」
「あのヤローがコソコソと、俺のことを親に捨てられた可哀想なやつっつってたのが聞こえてきたんだよっ!」
なるほど……それでこうもイライラしてたのか。