この手をぎゅっと、離さないでね?



親に捨てられた可哀想なやつだなんて言われたら、そりゃあ怒るよね。

だけどそれ以上に、光琉くんは傷ついたんだよね…?



「光琉くんは可哀想なんかじゃないよ!」

「あぁ?」

「たしかにお母さんとは離れ離れになっちゃったけど、でも…友達がいるでしょ?」

「は?いねぇよそんなもん」

「私……とか?」

「いやいや、冗談きついから。あかりとは友達になりたくねぇな」



冗談きついって……。

友達になりたくないって…。



うぅ……その言葉の方がよっぽどきついよぉ…。



「……で?今日は仙崎と一緒に帰らないんだ?」

「え……?あぁ、うん。洋くんははるちゃんたちとカラオケに行くから。光琉くんは?このまま帰るの?」


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