この手をぎゅっと、離さないでね?



光琉くんはじっと前を向いたまま、ぽつりとそうだな、と呟いた。



洋くんを羨ましく思う気持ちが、憎しみに変わってしまったんだね。

仲良かった洋くんを憎んでしまうほど、光琉くんは辛かったんだ。



仲良かった、好きだった詩織ちゃんが洋くんのもとへ行ってしまったこと。

家に居場所がなくなってしまったこと。



光琉くんの心は、ボロボロだったんだ。



「なんでこうも違ぇのかなって。俺はつまんねぇ人生送ってんのに、コイツは周りから好かれてぬくぬくとした人生送って…。そう思うと、すげぇイライラするんだよ」



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