この手をぎゅっと、離さないでね?
「いや……ごめんごめん。不機嫌だし泣いてるし…。もっと深刻な理由なのかと思った」
「じゅうぶん深刻な理由でしょーっ!」
「まぁでも……俺のことが嫌いになったとか別れたいとかじゃなくてよかったわ…」
洋くんは安心したように大きく息をつくと、私の身体をぐいっと抱き寄せた。
「嫌な気持ちにさせてごめんな。遥は俺にとって同性のツレみたいなもんだから、まさかあかりを嫌な気持ちにさせてるなんて思ってなかったんだ」
「バカぁ。洋くんのバカぁっ」
泣きながら洋くんのお腹を強く抱き返すと、私の肩に回った洋くんの両腕にも力が入った。