この手をぎゅっと、離さないでね?
「詩織ちゃんのお友達、案外すぐに見つかってよかったね?」
とはいえ、なんだかんだ1時間以上は探し回ってたみたいで。
ついた頃はまだ明るかった空も、すっかりと暗くなっていた。
「だな。そろそろ川のそばに行ってみるか?」
「そうだねっ!もうホタル飛んでるかなぁ?」
「もうすげぇ飛んでるだろうな」
洋くんと手を繋いだまま、人ごみの間を縫ってそばの住宅地に入った。
6年前、都会に引っ越す前はこの住宅地の中にあるアパートに住んでいたからこのあたりのことはよく知っている。
築年数の古い家が多い住宅地の一角に、青い瓦屋根の洋くんの家があるんだ。