この手をぎゅっと、離さないでね?
こうやって洋くんの家に来るのは何度目かな。
幼稚園児のころも小学生のころもよく来させてもらったから、もう数えきれないくらい来てるんだよね。
洋くんのお父さんの軽トラが止まっているあのガレージで、よくかくれんぼして遊んだなぁ。
四隅に積み上げられたタイヤの影に隠れたり、大きな木の板の影に隠れたりとかね。
「おーい、あかり?なにぼーっとしてんの?こっちだぞ」
「あっ、うんっ!ごめんっ」
黒い門扉を押し開けて、お庭の松の木と楓の木の間をずんずん進んでいく洋くんのあとを追いかけた。