この手をぎゅっと、離さないでね?
洋くんがまさかのオッケーをくれたことで、放課後は本当に洋くんの家にやってきた。
「おじゃましま~す…」
玄関ドアの隙間から顔を覗かせて、遠慮がちに言ってみたけど返ってくる言葉はなかった。
玄関からまっすぐ行った先の、リビングが真っ暗だから誰もいないんだろうな。
「入んなよ」
「うん、おじゃまします…」
後ろから洋くんに促され、乱雑に散らばるたくさんの靴のはしっこにローファーを揃えて置いた。