この手をぎゅっと、離さないでね?
「ねぇねぇ、宇月さん?」
「あ……はい?」
廊下の奥を歩く洋くんの背中をしばらく眺めていると、後からとつぜん声をかけられた。
ん……誰だろう?
話したこともない子だなぁ。
振り返ってみると、そこに立っていたのは見慣れない他クラスのギャルだ。
「洋と付き合ってるってマジなの?」
この金髪でやたらとメイクが濃い女の子…。
洋くんのことを呼び捨ててるから、洋くんの友達なのかな…?
「あ……はい」
私が遠慮がちに頷くと、名前も知らないギャルの表情がみるみる曇った。