この手をぎゅっと、離さないでね?
3度目のインターホンで、玄関ドアが勢いよく開いた。
「あぁ!?なんだよしつけぇな!何回もならしてんじゃねぇよ!うるせぇな!」
「わぁっ……ごめんなさい!」
「え……ちょ。なんで…?待って、あかり?」
しつこくインターホンをならした人物こそが私だと、微塵も思っていなかったのか。
洋くんは目を丸々と見開いて驚いていた。
「洋くん!?顔がっ……!大丈夫!?」
鼻筋に沿って張られたガーゼの上からでも、殴られた患部が腫れているのがわかった。
それから右目の周りも青くなっているし…。
痛々しい…。
改めて、激しいケンカだったんだな……。