この手をぎゅっと、離さないでね?



「まぁ……うん。痛てぇけど大丈夫…」



怒っているわけでもなく、迷惑そうにしているわけでもなさそうだけど…。

でも私からすぐに目を逸らしてしまったりって、やっぱりどこかよそよそしい。



なんだか、気まずそう。

やっぱりいまは、私と会いたくなかった?



「ごめんね、いきなり押しかけたりして…。洋くんとちょっと…話したいなって」



洋くんはちらりと私を見るなり、またすぐに視線を外した。



「いいよ……。入んなよ」



声のトーンが低い。

さっと背中を向けて中に入って行くから、そのあとを慌てて追いかけた。



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