この手をぎゅっと、離さないでね?



駅の白い外観が見えてくると、そのすぐ向かいに小さなピンク色のお店が見えた。

あのアイスクリーム屋さんは、何回かテレビで取り上げられたことのあるくらい人気があるんだ。



「あぁ…なに味にしようかなぁ。キャラメル味もいいし、チョコチップ味も好きだし…。濃厚ミルク味も捨て難いっ」

「まぁゆっくり決めな?」



アイスクリーム屋さんのショーケースにはりついて悩む私を、洋くんは後ろの席について笑いながら眺めている。



「洋くんはやっぱりなにも頼まないの?」

「うん。俺はいらねぇよ」



そうだったね…。

洋くんは甘いものって好きじゃなかったんだもんね。


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