この手をぎゅっと、離さないでね?



洋くんは私の左ななめ後ろの席に座って、ニコニコしながら私を見てるけどさ…。



いや……なんで堂々と言うかなぁ。

みんな私たちに注目してるし、恥ずかしい…。



「あれ?もしかしてヤダってか?」

「いや……いいけど。ちゃんと1回で起きてくれるなら…」

「じゃあ頼むわ。あかりの可愛い声聞いたら1発で目ぇ冷めるから」



ちょっ……。

洋くんってば、授業中の静かな教室でまた堂々と恥ずかしいことを……!



「仙崎……まったくお前は。仲がいいのは結構だが、授業中に私語はやめなさい」

「わりぃわりぃ。んじゃラインで話すわ」

「こらーっ、授業中にスマホもダメだ!」



洋くんと担任の岩本先生のやり取りに、静かだった教室にどっと笑いが巻き起こった。



< 331 / 347 >

この作品をシェア

pagetop