この手をぎゅっと、離さないでね?
詩織か……って、この子はやっぱり洋くんの友達かぁ。
洋くんのとなりの席に座ったりなんかして、仲良さげだし…。
「ちょっと〜!なんかライン返してくれないなーって思ったら、彼女ができたからだったんだ〜?」
詩織ちゃん、すぐ向かいに私が座ってるっていうのに私のことなんかまったく無視だ。
さっきはどうも、って声をかけたいけどタイミングが見つからないなぁ。
「そそ。そういうことだから、もう詩織に連絡は返さないからな」
「えぇーっ、冷たくない?うちら友達だよ?連絡くらいいいじゃん?ねぇ、彼女さん?」
詩織ちゃんのパンダのように黒々とした大きな瞳が、ギョロっと私へ動いた。