この手をぎゅっと、離さないでね?
「洋くんはもうボウリング場にいるのかなぁ」
本屋さんに入ってものの10分で店をでた私は、他にこれといって用事もないし。
来た道を戻りながら、赤い外壁が目立つゲームセンターを見あげながら歩いた。
もしかしたら会うかなって思ってたけど、学校まで戻ってもぜんぜん会わなかったし。
いまごろ荒井くんや竹内くんと、ボウリング場にいるんだろうな。
「ん……あれ、あの人は…」
学校の前を通りすぎた先にあるバス停の前に、どこかで見たことがある人影があった。