この手をぎゅっと、離さないでね?
バス停の前でしゃがみこんで、スクールバッグの中を漁っているあの人。
短いシルバーの髪。
男にしては少し低めの身長…。
奥二重の瞳と目が合った瞬間、彼は尾崎くんだと思いだした。
靴箱の前で、洋くんと胸ぐらを掴みあっていたあの尾崎くんだ!
っていうかなんか……困ってる?
さっきから必死にスクールバッグの中を漁ったりなんかして、なにかを探しているみたい?
「あの……なにかお困りですか…?」
尾崎くんも見るからにヤンキーだし、怖いから話しかけたくなんかないけど…。
ちょっと迷ったけど、後ろから話しかけてみた。