この手をぎゅっと、離さないでね?



あ……いま、私のことさらりとあかりって呼んだな。

男の子で私のことを下の名前で呼ぶのって、ただひとり洋くんだけだから。

洋くん以外の人にあかりって呼ばれるなんて、なんだか慣れないなぁ…。



「光琉くん……?」

「そう、やればできるじゃねぇか。それでいいんだよ」

「あはは…」



いきなり光琉くんって呼ぶなんて、それもなんだか慣れないんだけど…。

まぁいいか。

変に断って目をつけられたりなんかすれば、私の楽しいスクールライフが地獄になっちゃう。



「今日はマジで助かったわ、じゃあな」

「いえいえ。またね」



光琉くんがバスから降りて、プシューっと扉が閉まる。

私の肩の力も、プシューっと抜けた。



はぁぁ……怖かったぁ…。



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