この手をぎゅっと、離さないでね?
「あーっ、もう……。わりぃ、ちょっとついてきて!」
「え……待って洋くん、もうすぐ1時間目の授業が…」
「ごめん。今日だけサボって」
「えぇぇぇーっ!」
授業をサボったことなんかないのに!
サボりたいとも思ってないのに!
だけど私は、私の左の手首を掴んでいる洋くんの手を振り払うことはしなかった。
なんだか焦っているようだし…。
よほど言わなきゃいけないことでもあるのかな?
こうして私は、洋くんがよくサボってるっていうあの校舎裏につれてこられた。
その直後に、1時間目のはじまりのチャイムが鳴り響いた。