この手をぎゅっと、離さないでね?



唇が軽く触れるだけのキス。

時間にすると、ほんの一瞬ことだった。



だけどたしかに感じた。

柔らかい感触、温かい体温。



一瞬だった。

だけどまるで時間が止まったように、すごく長く感じた。



だって……ファーストキスなんだもん。



「えっと……あはははっ」



恥ずかしくって目も合わせられないし、何を話せばいいのかもわからないし。

ドキドキしすぎておかしくなりそう。



だからなんとなく笑ってみたりなんかしたけど…。



「……笑うな」

「だって恥ずかしいんだもん…」



私の胸の鼓動は爆発を繰り返すかのように暴れている。



< 84 / 347 >

この作品をシェア

pagetop