この手をぎゅっと、離さないでね?
「なぁ、あかり」
「なぁに…?」
だって洋くんはまだ、私の頬に添えた両手を下ろさないし。
顔だって、鼻先があたってしまいそうなほど近いまんまだ。
さっきからずっとドキドキが……止まってくれない。
「アイツのこと、好きになったりしてないよな?」
不安そうな目をしてそんなことを聞いてくるから、思わず笑ってしまった。
「ふふっ、ならないよぉ」
洋くん、なんだか可愛いな。
私の気持ちが離れていったりしないか、心配してるんだろうな。