この手をぎゅっと、離さないでね?
もしかして…。
もしかしてだけど、そのケンカをしてる人物って…。
「テメェ、そんなに俺とケンカしたいんだったら裏にこいや!」
靴箱の周りにはすでに人だかりができていて、荒々しい怒号が聞こえてくる。
背伸びをして人と人の間から覗いて見ると、そこにいた人物は思っていたとおり洋くんだった。
「ちょっ……洋くん!?なんでこんなことにっ…!?」
「それがさぁ、尾崎が仙崎にわざと肩をぶつけたらしいよ」
「尾崎って……」
あ、あの人は他クラスの…。
シルバーの髪色で目立つし素行も悪いから、その名前には聞き覚えがあった。