この手をぎゅっと、離さないでね?
光琉くんがやってくると、和やかだった屋上の雰囲気が一変する。
みっちゃんも、向こうのベンチでお弁当を食べている5人の女の子たちも光琉くんからぱっと顔を背けた。
光琉くんってやっぱり……怖がられてる存在なんだなぁ。
光琉くんには、誰もよりつこうとしないし目すら合わそうとしないもん。
ケンカばっかりしてると、そうなっちゃうよね…。
「うわ、美味そうなもん食ってんじゃん?」
光琉くんはにこにこ笑いながら、私のお手製から揚げ弁当を覗きこんできた。
「ん?これ、美味しそうに見える?」
「おう、見える見える」
光琉くんが私のとなりにドカッと腰をおろすと、ふわっ、とスパイシーな香水の匂いがする。
光琉くんもここでお昼ご飯?
って思ったけど、手荷物がないから違うか?