借金取りに捕らわれて 2
人の出入りのないビルの、鍵の掛かった部屋に置かれた酒瓶。

だが、誰かがいたのは確かだろう。

マサ以外の他の奴が言ったのなら、酒瓶の勘違いの可能性も含めてこれからの動きを考えていたところだが…

マサの観察力と記憶力にはそれほどの信頼を置いている。

マサが酒瓶が置いてあったと言うならそうなのだ。



と、なれば…


やはり…



「マサ、ちょっとやってもらいたいことがある。」


俺はマサに変わった指示を出した。
だが、疑問や否定の言葉さえ言わず、マサはそれを忠実に実行していく。


「どうだ?」


「隼人さんの言っていた通りでした。」



やっぱりか。もっと早く気付くべきだったな。



「拓海さんに連絡して、今からそっちに向かう。」


俺はマサとの話しを切り上げ、拓海さんに電話を掛けた。


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