借金取りに捕らわれて 2
「それと、他にお預かりしてきたものがございます。」

その声で、またドアの所に一原さんが現れた。


「ご伝言もお預かりしておりますので…」


そう言う仙崎さんに、何か含むものを感じ、二人に部屋の中に上がってもらうよう進めたが、一原さんは下がり、上がったのは仙崎さんだけだった。





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仙崎さんが帰った後の部屋の片隅に置かれた、見るからに高級な箱達を見て、嬉しいような呆れるような、なんとも複雑な気持ちになった。


取り敢えず、もらった人参でプリンでも作ろう…

朝からね…

完全に現実逃避なんだけどね…

いや、それが完全に現実逃避だと分かっていても、今は許される気がする!

そう!許されるはず!

さあ!全力で現実とう…プリンを作るぞ!



と、息巻いたは良いものの、開けた冷蔵庫に牛乳の姿はなかった。


「はあぁ…コンビニ買いに行こう。」


そして戻って来た時、アパートの階段を上っているところで秋庭さんの怒声が聞こえた。

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