借金取りに捕らわれて 2
「私はてっきり、秋庭さんが大声出す程の何かがあったのかと思っちゃいましたよ。」

私は敢えて、明るい声を出した。

「朝から悪かったな。」

「まったくですよ。近所迷惑にも程があります。」


先生が生徒を叱るように演技掛かって言えば、秋庭さんから困ったような笑みが漏れた。


「取り敢えずは、秋庭さん暫くうちに来ないで下さい。」

「はっ!?」

秋庭さんのここまで驚いた表情を始めて見た気がする。

そこまで驚くことを言っただろうか。


「二人は出来るだけ顔を合わせない方が良いと思うんです。
なので、雪斗君と遭遇しないように、これからはアパート以外で会いませんか？」

根本的解決じゃないけど、暫く二人には距離をとってもらうのが一番だよね。


「あー、そういうことか。」


胸を撫で下ろしたかのように溜め息を吐いた秋庭さんは、「あいつのせいで、とんだ迷惑…」と言い掛けて、何か思いついたような表情を浮かべた。

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