借金取りに捕らわれて 2
「この部屋、絶対盗聴機あるだろ。」


「真希でもそこまではしませんから。」



と、思いたい…



「何度も邪魔されると、流石にこの展開にも慣れたな…」



私としては助かってるんだけど…

とは、本人を前にして言わないでおこう。



「あの…他のアパートの方にも迷惑になりますから、そろそろ…」


「分かった。」



秋庭さんは、しぶしぶではあるが腕をほどいてくれた。そして…



「今日のお仕置きはこれで、勘弁してやる。」と、横から触れるだけのキスをして玄関に向かう。


「///////」



そのキスは体に甘いしびれを残した。



お仕置きが甘い。

と思うのは、私も秋庭さんに慣れてきたからなのだろうか?




玄関へ向かう秋庭さんの背中を、自然と目が追ってしまう。


「………………は、手を出さないでおくか。」


えっ?今、秋庭さん…


手を出さないって、言った?


私の耳へと届いた、とても小さく呟かれたその言葉に、嬉しさが込み上げてきた。


まだ気持ちの準備が出来ない私にとっては、とても有り難い。

もしかして、この毎回の展開に、手を出そうとしても無駄だと思ったとか!?

どういう意図で、そう言ったのか気になったが、秋庭さんは既にドアに手を掛けていた。

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