借金取りに捕らわれて 2
玄さんが復帰してからは、平日はずっと遅番のシフトで入っていた。

勿論、私から言ったわけではない。

きっと、ベテランの玄さんの復帰で人手不足が解消して、早く行かなくて良くなったのもあるだろうけど、きっとママが気を使ってくれたのだと思う。

実際、ここの仕事が終わったら、休む間もなく移動してジュリエットで働いてたから、時間に余裕がなかった。
だから、遅番は本当に有り難い。

このママの優しさには、誠心誠意、一生懸命働くことで報いさせてもらいますね!

でも、その前に…



「すみません、この書類仕舞ったら終わりますから。」


「じゃあ、僕は階段の所で待ってますね。」


「はい、急いで行きますー!」


私は林田さんを待たせてはいけないと、急いで取りかかった。

この部署に配属になった当初は、待っていてくれる林田さんに『お待たせするのは申し訳ないので、私の事は気にせず先に帰って頂いて大丈夫ですよ。』と、何度か言っていたのだが…

『人も滅多に来ない地下の部屋に、女の子一人おいて帰って何かあったら大変だから。』と言う林田さんに私が折れ、いつしか一緒に駅まで帰るようになっていた。


そう言えば一兄も、何かあったら大変だからあーしろこーしろって良く言ってたなー


林田さんみたいな頼れるお兄ちゃんって感じじゃないけど、そういうとこちょっと似てるかも。

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