借金取りに捕らわれて 2
万が一にも、万が一にもだが、私がその高いハードルを越えて連絡できたとしよう。

そしたら、秋庭さんのことだからきっと、仕事を置いて飛んできてくれると思う。

それを思うと、やっぱり連絡は出来ない。

仕事の邪魔はしたくない…



と、同じところに戻ってくるわけだが…

分かってる。何だかんだ理由をつけているのは自分でも分かってる。

そしてその結果、会いたいと思っても、私からは連絡はしないというところに見事に落ち着くことをも良しとしている。

なんてダメな奴なんだろ…

でも急いて直すことでもないし…

ああ、ああ、それでいいじゃないか。

今はこのままにしておこう。

さっ、ダメな私、少し早いけどもう戻ろう。




目を開け…




息を飲んだ。




目と鼻の先に、会いたいと思っていた人の顔があったのだから。



「秋庭さん!?」


何でこんなに顔近いの!?


「何してるんですか!?」


「何って、眠り姫に目覚めのキスをしようと思って。」


秋庭さんはそれが何でもないかのように飄々と答える。




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