借金取りに捕らわれて 2
目覚めのキスって…


それを想像してしまい、なんだか気恥ずかしくなってくる。

夜風にあたる顔も少し熱っぽくて、きっと頬も色づいているだろう。

こんな時、秋庭さんを見れなくていつもなら視線を下げて逃げるのだが…


それを秋庭さんが見逃すはずもない。


秋庭さんの手がベンチの背に延び、そして、近づいた唇がチュッと音をたてキスを落とす。


もう遅いと分かっていながらも反射的に口を手で塞げば、増していく顔の熱が手へと伝わってくる。



また、この人は…/////



「目ー覚めた?」


秋庭さんは優しい微笑みを浮かべ小首を傾げる。


「寝てませんから…
それに、もう目開けてたじゃないですか…」


そんな秋庭さんに、私は視線を反らしたまま素っ気なく答えたのに、彼は嬉しそうに笑った。

そして彼の長い指が私の前髪をすくう様に流し、隠れていた顔を月光の下へとさらす。


「俺に会って嬉しそうな顔したから、キスしたくなった。」


「私、そんな顔…」


してない。と言おうとしたが、徐々に自信がなくなり口をつぐんだ。


会えて嬉しかったのは本当だから。


でも…


「前髪で顔半分隠れてましたけど、分かるんですか?」


ちょっとツンケンした言い方になってしまったが、恥ずかしさを隠すのには丁度良い。


と思ったが…


「分かるよ。ちょっとした表情の変化でも、惚れてる女なら。」


余計顔の熱を上げることになってしまった。

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