借金取りに捕らわれて 2
「それに…」


前髪を留めていた手が私の顔の輪郭を滑り、両頬を優しく包み込んで上向かせた。


「いつもより疲れてるように見える。」


秋庭さんから笑顔が消え、心配そうな瞳が私を捉える。


この人にはそこまで分かってしまうのか。
隠しているわけではなかったが、少しドキリとしてしまう。


「今日は、色々あったので…」


視線を下げれば頬から手が離れていき、そこにあった温もりも夜風にさらされ消え去ると、どことなく寂しさを感じた。


「色々?」


「話すと本当長くなりますから…」


私は苦笑を浮かべ、やんわりと"色々"について話すのを避けた。


長いばかりかほぼ愚痴だ。
仕事で疲れている秋庭さんに、こんな話をしても余計疲れさせてしまうかもしれない。

そう思ってのことだったが…


「聞きたいな。前にも言ったろ?ヒロのことならなんでも知りたいって。」


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