借金取りに捕らわれて 2
夜空の下のお茶会
もしかしたらまた会うかもと思ったんだけど…


今朝は雪斗君と会うことはなかった。


お礼の件もちゃんと断ったし、きっと諦めてくれたんだろう。

昨日秋庭さんと別れる時にああ言ったこともあって、余計に身構えてしまったけど余計な心配だったみたいだ。


取り越し苦労に微笑し溜め息を吐く私の脳裏に、昨日の別れ際の会話が過る。




「アパートの隣の奴、あれから会ったか?」

「朝、会社行く時に会いましたけど。」


秋庭さん、雪斗君のこと気にしてるのかな?
そんなに心配しなくてもいいのに。


「何か言ってたか?」


何か?


「お礼したいって言われましたけど…」


「お礼、ね…」


何か考えるような秋庭さんの様子に、もしかしたら誤解をさせたのかもと思い「ちゃんと断りましたよ!」と語気を強めて早口になる。

だけど…


「他には?」


秋庭さんが考えていたのは、きっとそういうことじゃなかったんだと思う。

雪斗君のこと、気にしてると言うよりも警戒…してる?


「他には、特に言われてませんけど…」


「あいつには注意しろよ。」


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