借金取りに捕らわれて 2
お帰りなさいと言われたら、ただいまと言うのが普通で…

家族とか、近所のおばさんとか小さい子に言われたら直ぐに返すんだけど、まだ知り合って間もないせいか、歳が近い若い子だからか…

多分両方だから、凄く言い辛い。

けど、他に返す言葉が見つからず、結局最初に浮かんだ言葉を口にした。


「た、ただいま。」


雪斗君出掛けるのかな?
タイミング悪い時に帰ってきちゃったな。
早く自分の部屋入っちゃお。


鞄から鍵を取り出しながら部屋の前で止まると、雪斗君は部屋に鍵をかけず、同じく私の部屋の前で止まった。



「ヒロさん、甘いものお好きですか?」


甘い物?


「好きだけど…」


突然の質問に、何の考えもなしに反射的に答えると、雪斗君は良かったと笑顔を溢した。


「これ、この前のお礼です。」


両手に持った白い箱をぐいと差し出され、私はその白い箱から雪斗君に視線をスライドさせる。


「えっ、そんな、お礼とか悪いよ!」


「俺の気が済まないって言ったじゃないですか。
それに、本当はもっとちゃんとしたお礼したかったんですよ。でも断られるだろうなと思って、こんな物しか用意出来ませんでした。
だから、これ受け取ってくれなかったら、ちゃんとしたお礼させてもらいますから。」


どっちがいいですか?と雪斗君はにこっと笑った。


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