借金取りに捕らわれて 2
雪斗君って、本当面白い子だな~

そう思うのと同時に、真吾の顔が重なって見えた。

イケメン度合いも身長も全然違うのだけれど。



「さっ、ヒロさんどれにしますか?」



イスに座った私の前に湯気の立つティーカップをそっと置いた雪斗君が、流れるような身のこなしで今度はお皿とトングを持ってケーキを取り分けようと待っている。


何から何までやってもらうのは申し訳ないと思いつつも、ここは甘えさせてもらうことにした。


「じゃあ…」


テーブルに置かれた、箱の中のきらきら輝くケーキを一回り見、その中の1つを指差した。


「このバラのをもらおうかな。」


さっきお店の前通った時、これ気になってたんだよねー


「雪斗君は?」


「俺は…チョコにします。」


雪斗君がお皿に乗ったケーキを私に渡してくれた時、ふと、木々が並ぶ公園の方からこちらを見ている人影が目の隅に入った。


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