借金取りに捕らわれて 2
ケーキと手がかりと ~ 隼人side ~
「あや姉、これ良かったら先輩と食べて。」


「あら、Tea partyじゃない。」


あや姉は満面の笑みを浮かべお礼を言いながら、俺が差し出した有名店の袋をカウンター越しに受け取った。


だが、直ぐにその満面の笑みに、どこか、イタズラ好きな小さな子供が面白いものを見つけた時のような表情がちらりと射す。


渡す人選を間違えたか…


そう思っても、他に渡すとなるとケーキの個数的にも相手の都合的にも、これ以上ベストな人選はいなかったのだが。


「このケーキ、どうしたの?」


「…もらった。」


俺はカウンター席の奥、まだ皿が片付けられていない先ほどまで客がいたであろう席から一席開けて腰を下ろした。

平日の夜とあってか、花ノ衣には他に二人組の客が座敷テーブルにいるだけだった。


「ふ~ん」と、あや姉が箱の中に入ったケーキの説明書を開く。


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