ハツコイ
「…安原?」
ほぼ同時に、柚とハモったほど…
見れば見るほど、そして安原という名前ということが何よりも証拠で…
「お前…兄貴いる?」
思わず、問いかけてしまうほど激似。
「あ?いるけど?」
…マーケティング課で一緒の、あの安原さんに。
(ただし、性格は180度異なると思われる)
柚も気づいたようで、安原をチラッと盗み見ている。
マジかよ…
兄弟揃って柚に惚れるとか、アリ?
…というより、柚がそれだけモテるということか。
今日だって、周りの男子に声かけられまくってたし。
「おい。」
「え?ああ、ごめん。何?」
モヤモヤと考え事をしていたら、安原に睨まれていた。
「だから、兄弟がいるなら何だっての。」
「いや…別に。」
お前の兄貴と職場一緒なんて、口が裂けても言わねえよ。
「行くよ、柚。」
「あ…うん。」
「あ、待て!話はまだ終わってな…」
問答無用。
柚の手を取り、さっさとこの場から立ち去ってやった。
同窓会は危険。
柚から一歩も離れないでいようと誓いながら、懸命に歩いた。