ハツコイ
「ま、待ってっ…」
「え?あ、ごめん…」
ずんずんと歩いていたら、柚がパッと手を振りほどき、立ち止まった。
「もう誰もいないから…だから、休憩しよ?」
そう言いながら、大きな岩の影に座る柚。
「ごめんごめん。ちょっとヤキモチ。」
そう言って俺もその隣に座ると、柚が照れながら俺を見た。
「…ヤキモチ……?」
「そうだよ、安原兄弟に。二人とも柚のこと好きなんだろ?負けらんないよ。」
二人だけじゃない。
同窓会の他の奴らだって、柚のことを狙ってる奴はたくさんいるわけで。
気なんか抜いてられないよ。
そう思い、自分自身に喝を入れた時だった。
「ね…琉偉。」
「ん?」
「ど、どうかな…水着……………」
柚が顔を真っ赤にさせながら、俺がさっき渡した、体を隠していたタオルをどけた。
………ドクン…
心臓が大きく飛び跳ねた。