ハツコイ
聞こえるのは、お互いの息遣いだけ。





柚の華奢な身体の至る所に、キスを落とす。




首筋に沿って唇を這うと、柚が吐息を漏らした。





「声…我慢しないで。」





「でも……あっ……」





そのまま胸にもキスをすると、観念したように声を漏らした。




「柚…もう俺から離れないで。」




「あっ……ん……」





身も心も繋がった時、俺はそう呟いた。





二度と離れたくない。





だって、これまでも柚しか好きになれなかったんだ。




だから、これからも柚以外の女を好きになることなんて、ありえない。






すると、涙目で俺を見る柚が、呟いた。





「……琉偉…」




「…ん?」






「……愛してる……………」






初めて言われた、大好き以上の言葉。




10年前じゃ、とても言えなかった言葉。





「柚……柚奈…俺も、愛してるよ。」




そして、大好き以上の言葉を返せるくらいの男になれた俺。





一生傍にいる。




二度と離れない。




二度と離さない。





そう心に誓いながら、柚を強く強く、抱きしめた。


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