ハツコイ
今日の主役は誰だよ…ってくらい、会場に集まった人の視線を集める俺と柚。




いや、でもこれチャンスだよな。




あの、加奈子って子が見てる前で、柚の不安を取り除く。




これは絶好の機会だ。





「柚…ブーケ、よかったな。」



「う、うん。」





「……………覚悟はいい?」




「…え?……きゃっ」




柚の腰をグイッと引き寄せながら、加奈子って子をチラッと見た。




いいか、見とけよ?




俺と柚の邪魔は、誰にもさせないから。




…そんな意味を込めて送った目線。




そして、大勢の前で新郎新婦よりも熱いキスを披露してやった。




「いいぞー安座間!」



「ヒューヒュー!!」




高校時代のクラスメイトはもちろん、俺らの関係を知っているから、茶化してくる。




だけど…




顔を真っ赤にして硬直している柚から離れ、もう一度加奈子って子を見た。




彼女は、歯を食いしばるように俺たちを見ていた。





わかった?



俺には、柚がいればいい。





だから、柚を取り巻く不安要素は、全力で取り除くよ。


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