ハツコイ
「よーし到着!」
…着いた、琉偉の実家。
“安座間書道教室”と達筆で書かれた看板が立てかけられている。
「お母さん、今も書道教室やってるんだ。」
「ああ。でも生徒はちびっ子ばっかだけどな。ただいまー!」
ガラっと扉を開けると、すぐそこにお母さんがいた。
「あら琉偉。帰ってくるなら一言、連絡ちょうだいよ。……て、もしかして柚奈ちゃん?」
「はい、ご無沙汰してます。倉科柚奈です。」
「驚いた?柚も同じ会社で働いてて、再会して。で、付き合って……結婚することにした。」
えええ!?
そんなアッサリと!!
しかし、そこはさすが琉偉のお母さん。
「よかったじゃなーい!いやね、この子柚奈ちゃんと連絡取れんようになってから、灰みたいになっちゃってねえ。まさかまた拾ってもらえるとはねぇ。ありがとうね、柚奈ちゃん!」
まさかの展開。
「母ちゃん!余計なこと言うなよ!!」
珍しく照れて赤くなる琉偉がかわいい。
「父ちゃん夕方には帰ってくるから、夕飯食べながらでも話しなさい。それまでゆっくりしていって、柚奈ちゃん。」
「はい、ありがとうございます!」
相変わらず優しい琉偉のお母さん。
琉偉と再会できたのはもちろん嬉しいけれど、お母さんとも再会できて、本当によかった。