ハツコイ

「遅えぞ、琉偉!」



「シゲさん、もう酔ってんの?」



呆れ顔で私のとなりに座る琉偉。




「琉偉、二階会の新入り、新田芽衣。芽衣って呼ぶことにしたから。」



「ああ、はじめまして。安座間琉偉です、よろしく。」



「新田芽衣です。よろしくお願いします。」



お互い一言ずつ交わした後、改めてみんなで乾杯した。





「で?あんたたちどーなのよ?」



会も深まってきた頃、あーみんが私と琉偉を見ながらそんなことを聞いてきた。



「どうって、何が。」



「何が、じゃないわよ。あんた柚奈のことどうするつもりよ?」



あーみん、私のこと心配してくれてるんだな。



ちょっぴりじーんとしていると、琉偉がビールを飲みながらしれっと答えた。



「どうって、婚約したけど?」




そんな琉偉の発言に、全員が声を上げた。



「こ、婚約!?」



「いつの間に!?てかあんた、そう言うことちゃんとした時に言いなさいよ!」



「まじか!入籍する日とか決まってんの?」



「柚奈ちゃんの花嫁姿、かわいいんだろうなぁ…」




「ちょっと、シゲさん?柚の花嫁姿想像すんの、禁止!」



うわぁ…なんかキュンとしたなぁ、今の。



そんな私に、芽衣ちゃんが微笑む。



「柚奈ちゃん、結婚するんだ!おめでとう!」



「ありがとう。」



芽衣ちゃんの歓迎会なのに、私たちの話になってしまった。



それなのに、本当に嬉しそうに話を聞いてくれる芽衣ちゃんに、私は好感が持てたんだ。


< 148 / 211 >

この作品をシェア

pagetop