ハツコイ
「遅えぞ、琉偉!」
「シゲさん、もう酔ってんの?」
呆れ顔で私のとなりに座る琉偉。
「琉偉、二階会の新入り、新田芽衣。芽衣って呼ぶことにしたから。」
「ああ、はじめまして。安座間琉偉です、よろしく。」
「新田芽衣です。よろしくお願いします。」
お互い一言ずつ交わした後、改めてみんなで乾杯した。
「で?あんたたちどーなのよ?」
会も深まってきた頃、あーみんが私と琉偉を見ながらそんなことを聞いてきた。
「どうって、何が。」
「何が、じゃないわよ。あんた柚奈のことどうするつもりよ?」
あーみん、私のこと心配してくれてるんだな。
ちょっぴりじーんとしていると、琉偉がビールを飲みながらしれっと答えた。
「どうって、婚約したけど?」
そんな琉偉の発言に、全員が声を上げた。
「こ、婚約!?」
「いつの間に!?てかあんた、そう言うことちゃんとした時に言いなさいよ!」
「まじか!入籍する日とか決まってんの?」
「柚奈ちゃんの花嫁姿、かわいいんだろうなぁ…」
「ちょっと、シゲさん?柚の花嫁姿想像すんの、禁止!」
うわぁ…なんかキュンとしたなぁ、今の。
そんな私に、芽衣ちゃんが微笑む。
「柚奈ちゃん、結婚するんだ!おめでとう!」
「ありがとう。」
芽衣ちゃんの歓迎会なのに、私たちの話になってしまった。
それなのに、本当に嬉しそうに話を聞いてくれる芽衣ちゃんに、私は好感が持てたんだ。