ハツコイ

柚をベッドに寝かせ、その寝顔を見つめる。



それにしても、芽衣…本当に俺を?



そんなそぶりは感じられなかったと思うし、部屋の前で待ち伏せてたって…。




「柚…」




思わず柚の名前を呟くと、柚がモゾモゾと動き始めた。



「ん…」



目が開いたのでにっこり微笑むと、泣きそうな顔で俺に抱きついてきた。




「柚…?」



「……おかえり。」



「……………ただいま。」




ぎゅっと抱きしめる。



柚も、いつも以上にぎゅってしてくれる。




「…泣かせてごめん。」




そんな俺に対しての柚の返事は…




「…好き。琉偉が大好き。」





そんな嬉しい言葉で。



「俺も、大好き。」




見つめ合って、笑う。





ドキドキだけじゃないんだ。



安心感や、幸福感。



柚じゃなきゃ、満たされない俺の心。





「ただいまのチューは?」




そんな俺に、ふふっと笑いながらチュッとキスをしてくれた柚。



幸せで幸せで仕方がない。




だけど、俺も柚も嫉妬深い。





それを知ってるのに防げなかった、今回のこと。



だから任せて。





柚の不安は…俺が必ず消し去るから。



< 156 / 211 >

この作品をシェア

pagetop