ハツコイ
「あははは!それウケるねー!」
二階会が始まり、お酒も進んだ頃。
百合さんがチラッと俺を見て言った。
「あれぇ?琉偉、あんた今日飲むスピード早くない?ってか、酔ってない?」
「えー?そーかなあ??」
本当は全然酔ってないけど。
酔ったふりをして、さりげなく柚にくっつく。
「ゆーずっ。肩貸してー。」
「ちょっ…琉偉っっ…」
人前でのスキンシップを恥ずかしがる柚に、百合さんが笑う。
「柚ー、肩くらい貸してやんなよ。別にいいじゃん。ここにいるみんな、あんたたちが結婚すること知ってるわけだし。」
「はは!そうそう!」
作戦を知らないりょうちゃんまで、乗ってくれる。
「…まあ、肩くらいなら………」
そう呟いた柚のほっぺに、チュッとキスをした。
「ありがと、柚。」
柚は顔を真っ赤にさせて、硬直してる。
「ほっぺにチューくらいで真っ赤になっちゃって、可愛い〜!ねえ、芽衣!」
「え?…う、うん。可愛い、柚奈ちゃん!」
芽衣のその顔は、明らかに強張っていた。
「それくらいで真っ赤になって…あんたたち、いっつもそれ以上のことしてるんでしょ?」
「ちょっと、あーみん!」
耳まで真っ赤にしてアタフタする柚。
「そうそう、いっつもしてるもんねー!ゆーずっ。」
「もう…琉偉っ!!」
「何だなんだ!?今日は琉偉が随分と酔ってんなぁ。」
まだシラフのシゲさんも、今日は俺が酔ってる(フリをしている)ことが珍しいようだ。
おかげで、その後も芽衣から話しかけられることはなく、二階会を終えた。
部屋に帰る時も、あーみんが芽衣に話しかけてくれたから、柚に連れられて俺は無事自分の部屋に帰ることが出来た。