ハツコイ
入学からしばらくして、クラスの女子とは段々と打ち解けられるようになった頃。



授業が終わり、お昼休みに入るため、教科書を鞄にしまおうとした時のこと。




「おーい、琉偉!」



一人のクラスメイトの男子が、安座間くんの席まで走ってきた。



何かを手に持っている。




「…何それ。」



あ…。



初めて聞いた、安座間くんの声。



声の低さが心地よい感じ。




するとその男子は、手に持っていたものを全て、安座間くんの机の上に置いた。




「えーと…これが1年B組の川北さんからのでしょ?で、こっちがD組の野沢さん。まあ俺的には、川北さんの方が可愛かったよ。」




…うわあっ!



それってもしかして…




「ラブ…レター…?」



たくさんのラブレターに、戸惑っていそうな様子の安座間くん。




その日を境に…




毎日のように、安座間くんの元にラブレターが届いていた。




すごい…モテるんだなぁ。



クラスの女子も、確かにみんなカッコいいって言ってた。




でも…安座間くんはいつも困っていそうな、そんな表情をしていた。



…横顔しか見てないから、わからないけれど。



お話したこともないから、わからないけれど。




そんな私が初めて彼と話したのは、日直の時だった。



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